arrow_backホームへ戻る

Claude Codeの「エージェント」を理解する — スキルとの違いと使い分け

CLINICAL AIcalendar_month公開: 2026/4/11
Claude Codeの「エージェント」を理解する — スキルとの違いと使い分け

前回の記事では、Claude Codeでアプリ開発を始める前に整えるべき「安全設定」「スキル」「記憶の仕組み」を紹介しました。

今回はその続き。前回あえて触れなかった「エージェント」の話です。

結論から言うと、スキルが「知識カード」だとしたら、エージェントは「別の人格を持った専門家」です。Claude Codeが一人で全部やるのではなく、専門家チームに仕事を振る仕組み——それがエージェントです。

---

目次

  1. [スキルとエージェントは何が違うのか](#スキルとエージェントは何が違うのか)
  2. [エージェント定義を入れる — everything-claude-code](#エージェント定義を入れる--everything-claude-code)
  3. [claude-code-orchestraのエージェント構成](#claude-code-orchestraのエージェント構成)
  4. [実際にどう動くのか — 具体例で見る](#実際にどう動くのか--具体例で見る)
  5. [まとめ](#まとめ)

---

スキルとエージェントは何が違うのか

前回紹介した「スキル」と今回の「エージェント」は、混同しやすいですが役割がまったく違います。

スキルエージェント
**たとえるなら**マニュアル・参考書別の人間(専門家)
**動き方**Claude Code本体が参照して行動するClaude Codeとは別に独立して動く
**記憶**メインのClaude Codeと共有自分専用の記憶空間を持つ
**得意なこと**「やり方」を教える「重い仕事」を並行して進める
**具体例**mcp-builder, artifacts-buildercode-reviewer, codex-debugger

イメージとしては、病院に例えるとこうなります:

  • スキル = 診療ガイドライン(医師が参照して判断する)
  • エージェント = 他の専門医へのコンサルト(判断そのものを任せる)

スキルはClaude Codeの「知識」を増やし、エージェントはClaude Codeの「手」を増やします。

---

エージェント定義を入れる — everything-claude-code

GitHub: affaan-m/everything-claude-code

エージェントを使うには、まずエージェント定義ファイルが必要です。これは .claude/agents/ フォルダに置く .md ファイルで、「どんな専門家か」「どのモデルを使うか」「どのツールを使えるか」を定義します。

everything-claude-codeは、アプリ開発に必要な36個以上のエージェント定義がまとまったリポジトリです。

インストール方法

git clone https://github.com/affaan-m/everything-claude-code.git

# agents/ フォルダの中身を ~/.claude/agents/ にコピー

cp everything-claude-code/agents/*.md ~/.claude/agents/

~/.claude/agents/ に置いたエージェントは、すべてのプロジェクトで自動的に使えるようになります。

私がインストールしているエージェント

36個すべてを入れる必要はありません。以下は私が実際に使っているものです。

コードレビュー系

エージェントモデル何をしてくれるか
**code-reviewer**Sonnetコード品質・セキュリティ・保守性を自動レビュー。コード変更のたびに使う
**security-reviewer**Sonnetセキュリティ脆弱性の検出に特化。認証やAPI実装時に自動発火
**typescript-reviewer**SonnetTypeScript/JavaScriptの型安全性、async/await、Node.jsセキュリティを専門チェック

設計・計画系

エージェントモデル何をしてくれるか
**architect**Sonnetシステム設計・スケーラビリティ・技術選定の判断を行う
**planner**Sonnet複雑な機能やリファクタリングの実装計画を立てる

テスト・品質系

エージェントモデル何をしてくれるか
**tdd-guide**Sonnetテスト駆動開発のワークフローを強制。テスト→実装→リファクタの順番を守らせる

モバイル・言語特化系

エージェントモデル何をしてくれるか
**flutter-reviewer**SonnetFlutter/Dartのウィジェット設計・状態管理・パフォーマンスをレビュー
**kotlin-reviewer**SonnetKotlin/Androidのコルーチン安全性・Composeパターンをレビュー
**swift-reviewer**SonnetSwift/iOSのメモリ安全性・async/await・SwiftUIパターンをレビュー

エージェント定義ファイルの中身

中身はシンプルなMarkdownです。たとえば code-reviewer.md はこんな構造です:

---

name: code-reviewer

description: コード品質・セキュリティ・保守性を自動レビュー

tools: ["Read", "Grep", "Glob", "Bash"]

model: sonnet

---

(レビュー手順や判断基準の詳細がここに書かれている)

model: sonnet は「このエージェントはSonnet(軽量モデル)で動かす」という指定です。レビューや設計判断にはSonnetで十分ですし、コストも抑えられます。判断が特に重要な場面では model: opus(最上位モデル)を指定することもできます。

---

claude-code-orchestraのエージェント構成

GitHub: DeL-TaiseiOzaki/claude-code-orchestra

everything-claude-codeが「個々の専門家の定義」だとすれば、orchestraは「専門家チームの運用ルール」です。orchestraを導入すると、Claude Codeは「自分でコードを書く人」から「チームを指揮する人」に変わります。具体的には、3つの専用エージェントと2つの外部エージェントが追加されます。

3つの内蔵エージェント

これらは .claude/agents/ ディレクトリに定義ファイルとして配置されます。

1. general-purpose(汎用実行エージェント)

チームの「何でも屋」です。コード実装、リサーチ、コードベース分析、ドキュメント作成などを担当します。Opus(最上位モデル)の100万トークンのコンテキストを持つので、大規模なコードベースでも一度に把握できます。

使われる場面:

  • 「このプロジェクト全体の構造を調べて」
  • 「この機能を実装して」
  • 「Webで最新情報を調べて」

2. codex-debugger(エラー分析エージェント)

エラーが出たときに自動で呼び出される「トラブルシューター」です。3ステップで動きます:

  1. エラーの周辺情報を収集する
  2. Codex CLI(OpenAI製)に原因分析を依頼する
  3. 修正を適用するか、手に負えなければ人間に報告する

使われる場面:

  • テストが失敗したとき
  • ビルドエラーが出たとき
  • 実行時に想定外の動作をしたとき

3. gemini-explore(マルチモーダルエージェント)

PDF、動画、音声、画像といったテキスト以外のファイルを扱う専門家です。内部でGemini CLI(Google製)を使います。

使われる場面:

  • 「この論文PDFの内容を要約して」
  • 「この会議の録音を文字起こしして」
  • 「このUI設計画像を分析して」

2つの外部エージェント

orchestraは、他社のAIも「チームメンバー」として組み込みます。

エージェント提供元得意なこと
**Codex CLI**OpenAI(GPT-5.4)設計判断、推論、デバッグの根本原因分析
**Gemini CLI**GooglePDF・動画・音声・画像の読み取り

つまりorchestraは、Anthropic・OpenAI・Googleの3社のAIを1つのチームとして使う構成です。

自動ルーティング — 誰に振るかを自動判断

orchestraの最大の特徴は、あなたが「誰に頼むか」を考えなくていいことです。

.claude/hooks/agent-router.py というフック(自動トリガー)が、あなたの指示内容を見て適切なエージェントに振り分けます。

あなた:「この設計、どう思う?」

→ agent-router が「設計」を検知

→ Codex CLI に自動で振る

あなた:「このPDFの内容を教えて」

→ agent-router が「.pdf」を検知

→ Gemini に自動で振る

あなた:「ログイン画面を作って」

→ agent-router が「実装系」と判断

→ general-purpose エージェントに振る

9つの自動フック

ルーティング以外にも、orchestraには9つのフック(自動トリガー)が組み込まれています。

フックいつ動くか何をするか
**agent-router**指示を入力したとき適切なエージェントに自動振り分け
**error-to-codex**コマンドがエラーを返したときエラーをCodexに自動送信して原因分析
**lint-on-save**ファイルを保存したときコード品質を自動チェック
**post-test-analysis**テスト実行後テスト結果を自動分析
**check-codex-before-write**ファイルに書き込む前Codexに「この変更、大丈夫?」と確認
**suggest-gemini-research**Web検索しようとしたときマルチモーダルならGeminiを提案
**post-implementation-review**コード実装後自動でコードレビュー
**check-codex-after-plan**計画作成後Codexに計画の妥当性を確認
**log-cli-tools**タスク完了時使ったツールを記録

特に重要なのは error-to-codexlint-on-save です。エラーが出ても自動で原因を調べてくれるので、非エンジニアでも「エラーで詰む」場面が大幅に減ります。

Agent Teams — チームで並行作業

orchestraには「Agent Teams」という仕組みがあり、複数のエージェントをチームとして同時に動かすことができます。

team-implement(並列実装)

大きな機能を作るとき、モジュールやレイヤーごとにエージェントを割り当てて並行実装します。

/team-implement

→ エージェントA:フロントエンド(画面)を担当

→ エージェントB:バックエンド(API)を担当

→ エージェントC:データベース部分を担当

(同時に作業し、完了後に統合)

team-review(並列レビュー)

実装が終わったら、3人の専門レビュアーが同時にコードをチェックします。

レビュアーチェック内容
**Security Reviewer**セキュリティ脆弱性(SQLインジェクション、XSSなど)
**Quality Reviewer**コード品質(可読性、保守性、設計パターン)
**Test Reviewer**テストカバレッジ(テストが十分か、漏れがないか)

人間のコードレビューと同じように、異なる視点から同時にチェックするので、見落としが減ります。

---

実際にどう動くのか — 具体例で見る

「業務改善アプリを作りたい」という場面で、everything-claude-codeのエージェントとorchestraの仕組みがどう連携するかを見てみましょう。

ステップ1:設計(architect + Codex CLI)

あなた:「問診票アプリを作りたい。まず設計して」

→ agent-router が「設計」を検知

→ architect エージェントがアーキテクチャを検討

→ Codex CLI に設計判断を確認

→ 技術スタック・DB構成・API設計が決まる

ステップ2:計画(planner)

あなた:「設計に沿って実装計画を立てて」

→ planner エージェントがタスクを分解

→ 「フロント3タスク、バック4タスク、DB2タスク」に整理

→ 依存関係と実装順序を決定

ステップ3:実装(team-implement + general-purpose)

あなた:「計画どおり実装して」

→ team-implement でフロント・バック・DBを並行実装

→ 各モジュールを general-purpose エージェントが担当

ステップ4:レビュー(code-reviewer + security-reviewer + team-review)

→ code-reviewer:「コード品質OK、命名規則に一部違反あり」

→ security-reviewer:「SQLインジェクションの脆弱性なし」

→ team-review の Test Reviewer:「カバレッジ85%、十分」

ステップ5:エラー対応(codex-debugger)

テスト実行 → 2件失敗

→ error-to-codex フックが自動発火

→ codex-debugger が原因を特定

→ 修正を自動適用

この一連の流れで、あなたが手動で行うのは「指示を出す」と「最終確認する」だけです。

everything-claude-codeの専門エージェント(architect, planner, code-reviewer)が個々の判断を担い、orchestraの仕組み(ルーティング、フック、チーム実行)がそれらを自動で連携させる——この組み合わせがポイントです。

---

まとめ

仕組み提供元役割
**code-reviewer / security-reviewer**everything-claude-codeコード品質・セキュリティの自動レビュー
**architect / planner**everything-claude-code設計判断・実装計画
**tdd-guide**everything-claude-codeテスト駆動開発の強制
**言語特化レビュアー**everything-claude-codeTypeScript/Kotlin/Flutter/Swift専門チェック
**general-purpose**orchestra実装・調査の汎用エージェント
**codex-debugger**orchestraエラー自動分析
**gemini-explore**orchestraPDF・動画・音声の読み取り
**agent-router + 9フック**orchestra自動振り分け・自動チェック
**team-implement / team-review**orchestraチームでの並列実装・並列レビュー

前回の記事で紹介した「スキル」がClaude Codeの知識を広げるのに対し、「エージェント」はClaude Codeの手足を増やします。

導入の順番としては:

  1. まず everything-claude-code — code-reviewer と security-reviewer だけでも、AIが書いたコードの品質が格段に上がる
  2. 次に orchestra — プロジェクトが大きくなってきたら、ルーティングとチーム実行で自動化を進める

スキルだけでも十分に開発は進められますが、複数ファイルにまたがる実装やセキュリティレビューが必要になったとき、エージェントの仕組みが効いてきます。

「一人の優秀な医師」よりも「チーム医療」のほうが安全で効率的なのと同じです。Claude Codeも、チームで動かしたほうが強い。

---

参考リンク

Claude Codeの「エージェント」を理解する — スキルとの違いと使い分け の補足画像 1

議論のタイムライン

読み込み中...

議論に参加する

person

お問い合わせ・ご相談

医療現場へのAI導入や、個別のご相談はこちらから。X(旧Twitter)またはメールにて直接承ります。